2018年4月獣医学部開設
2018年4月、岡山理科大学は、西日本の私立大学として初めての獣医学部を開設します。獣医学部の開設は52年ぶりとなります。
獣医学は、ヒトや動物に共通する感染症をコントロールし、新しい医薬品の開発、病気の予防・治療に関わっていく、動物とヒトの健康を科学する学問です。 近年は動物のインフルエンザやエボラ出血熱など、ヒトと動物に共通する新興感染症が世界規模で発生しています。こうした事態に、動物からヒトに感染する前に、防御体制を整えていくことは獣医師の役割なのです。
また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)など国際的な自由貿易の取り組みが活発化する中、食料需給の国際信用力の要となっているのが食の安全や品質保証です。これを高めて諸外国と対等に渡り合うためには、グローバルに活躍できる獣医師の養成が必要です。
しかし、これまでの日本の獣医学部では卒業生の約半数が小動物の診療分野に就業している一方で、ライフサイエンス研究に携わる専門家や、国際的な視野をもって地域の危機管理などに対応していく公務員獣医師が不足しているのが現状です。そこで、本学ではこうした分野に貢献できる専門獣医師を養成するため、コアカリキュラムに加えて、独自のアドバンスト教育を行い、ニーズが高まっている分野で活躍できる人材を輩出していきます。
獣医学科は、基礎研究から臨床への橋渡しを行うトランスレーショナル研究の専門家や、国や県の中枢機関で公共獣医事などに取り組んでいく公務員、医獣連携獣医師など多様な人材を養成していきます。これまでの獣医学教育をさらに発展させた新しい教育研究体制を整えています。
また、高度化・多様化する獣医療においては、獣医師と獣医関連専門家(VPP:Veterinary Para-Professional)が連携し、一つのチームとして獣医療、ライフサイエンス研究、公共獣医事にあたるチームワークが不可欠です。
そこで、本学では獣医学科と獣医保健看護学科の2学科を設置します。
これまで、四国地域には獣医療の危機管理等の学術拠点となる教育研究機関がなく、さらに、四国は海峡などによって地形が本州と分離しており、さまざまな感染症の拡大を防ぐための初動体制を整備しやすい環境にあります。こうした地域に獣医学部を開設することで、地域の拠点(COC、COE:Center of Community, Center of Excellence)としての役割も果たしていきます。
私立大学で西日本初の獣医学部が誕生
全国での獣医師養成機関(獣医学科)の入学定員は930名で、新設は約50年間されていません。
東西で比較すると、東日本には11大学の765名、西日本は5大学で165名と数的にも偏りがあり、しかも四国地域は獣医学部の完全な空白地帯でした。