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第1回市民講座 概要

(日時)2018年5月21日(月)16:45~19:00
(場所)岡山理科大学今治キャンパス獣医学部棟2階A0229教室
(主催)岡山理科大学獣医学部
(後援)今治市・今治市教育委員会
(司会)岐阜大学獣医学課程獣医学講座 柳井徳磨教授

 

講演演題

海洋環境中のごみと生物への影響について
水野哲夫先生(オーストラリア日本野生動物保護教育財団理事長)
東南クイーンズランドのコアラ:危機に陥っているコアラを病理学的及び疫学的見地から探る
Dr.Rachel Allavena (クイーンズランド大学准教授)
AJWCEF(オーストラリア日本野生動物保護教育財団)オーストラリア野生動物保護トレーニングコースについて
水野哲夫先生(オーストラリア日本野生動物保護教育財団理事長)

 

講演概要

海洋のごみと海洋生物に関して、オーストラリア モートン湾の海洋生物特にうみがめを例に講演がなされました。海洋のごみとして、プラスチック類が最も多く、うみがめは、うみを漂流しているゴミの影響をうけやすく、大小さまざまなプラスチックをのみこんで死に至る例があることが報告されました。また、うみがめ以外では、あほうどりがプラスチックをのみこんだ例、ペリカンが釣り針を飲み込んだ例も紹介されました。さらには、マイクロプラスチックをプランクトンが食べる例が紹介され、食物連鎖で、生物濃縮の懸念がある旨の報告もされました。
オーストラリア・クイーンズランドの野生のコアラが、この20年の間に大きく減少(約半数)している実態が報告され、次いでその原因の究明が病理、疫学の両面からなされている旨が報告されました。次いで、過去17年のデータの解析及び3年間にわたり実際に解剖しデータを集積したことが報告されました。その結果、交通事故に加え、病気による死が増えていること、特にクラミジアによる感染、腫瘍が増えている実態が報告さました。
AJWCEFオーストラリア野生動物保護トレーニングコースとして、4つのコース(初級、中級、専門、海洋生物保護)の紹介がありました。どのコースも20人弱と少人数で構成していること、初級コースは一般の人も参加可能であるが、人気が高く早めの申し込みが必要であるとのことでした。また、他のコースは幾分経験を積んだ方を対象としたコースであるとの説明がありました。

 

公開講座まとめ

参加者は、岡山理科大学の学生・教職員・市民の方を含め、約150名でした。質疑の時間には、一般の方の質問に加え、学生からも質問がだされ、演者の先生方との活発な討論が行われました。

具体的には、海洋汚染の実態、ゴミを捨てない対策、マイクロプラスチックの発生を減らす方策について、また、コアラの保護に関して人工飼育の状況、病気の治療、予防法等について、活発な議論がなされ、野生動物の保護に関する有意義な時間を持つことができました。最後にAJWCEFの野生動物保護の4つのトレーニングコースの話があり、オーストラリアで野生動物保護が一般市民の間にも広く浸透している実態を知ることができました。

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