魚病学講座

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世界的に漁業生産が頭打ちになってきているのに対して、養殖生産は増加し続けています。我が国の養殖業も沿岸漁業生産額のほぼ5割を占める重要な産業へと発展してきましたが、最近の養殖生産額は3000億円に達せず停滞気味です。養殖生産を阻害する要因は様々ありますが、魚病もその1つです。安定的な養殖生産の確保および養殖業経営の健全化、さらには養殖生産物の安全性の向上にとっても魚病対策は欠かすことはできません。本講座では魚病被害軽減を目指した講義・実習・研究を進めています。

担当講義・実習

水産増養殖学

日本では古くからコイの養殖、カキの養殖やタイの畜養、サケの産卵場整備、親魚・稚魚の捕獲禁止による繁殖保護や稚魚のふ化放流など、水産生物を有効利用してきています。最近では世界的には漁業生産量が頭打ちになってきているのに対して養殖生産量は年々増加しており、つくり育てる「養殖漁業」及び「栽培漁業」は世界の安定的な食糧供給の産業として位置付けられています。本科目は水産増殖・養殖の成り立ち・歴史、現状、方法及び課題を理解し、種苗生産、飼餌料、育種および代表的な水産生物の養殖法の基礎的知識を修得することにより、新しい増殖・養殖法や新たに生じた課題に対応できる力を身につけることを目的としています。増養殖と魚介類の病気発生は関連が深く、水産増養殖を学ぶことは魚病の理解に役立ちます。

魚病学

養殖が大規模に行われるようになるに従い、感染症および非感染症が多発するようになり、養殖産業に多大な経済的被害を与えています。魚類は最下等の脊椎動物で水中に生息することから、高等脊椎動物とは臓器の機能や免疫系が異なります。無脊椎動物に関しては、魚類よりもさらに高等脊椎動物と異なる点が多くあります。一方、これら水生生物に感染する病原体の殆どは哺乳類に感染せず、水域特有のものです。ただし、魚介類に有害でなくても、筋肉や臓器に寄生することで食品として商品価値を失わせたり、ヒトの食中毒の原因になったりして、結果として養殖魚の生産を妨げる寄生虫もいます。本科目は水生動物の疾病の歴史・原因・症状・病理・疫学を理解することにより、それらの診断、予防ならびに治療のための基礎知識を得ることを目標にしています。

魚病学実習

水産動物は無脊椎動物から脊椎動物と範囲が非常に広く、さらに同じ脊椎動物であっても魚類と哺乳類とはその諸器官の形態は大きく異なっています。魚介類の疾病を診断し、治療および対策を施すためには、水産動物の各臓器の役割を知ることは不可欠です。そこで、魚介類を解剖し、主要な器官を目視で確認し、それらの機能を理解します。また、魚の採血や麻酔なども含め、基本的な魚病検査技術を学びます。

メッセージ

世界的な健康食ブームで、日本の美味で安全な養殖魚に注目が集まっています。愛媛県は全国で1、2を争う養殖業の盛んな地域であり、養殖生産物は、国内販売ばかりではなく海外へも輸出されています。海外の多くの国では獣医師が魚病の対応をしていますが、日本では獣医師が水産分野に積極的に関わっているとは言い難いのが現状です。魚介類の生理・免疫は哺乳類と異なるため、それを熟知した獣医師が求められています。愛媛県今治市の岡山理科大学獣医学部は、わずかな時間で養殖現場にアクセスできるという立地条件を備え、魚病・水産の知識を持った獣医師に向けた教育・研究の場として最適です。水産分野で活躍する新しい獣医師を目指して一緒に勉強していきましょう。

配置

獣医学部棟5階西ウイング522および523

魚病学講座 教員紹介

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