江藤 真澄教授

学位

研究内容

ミオシンホスファターゼを介した細胞運動調節機構の解明

細胞運動の調節機構に興味を持ち、血管平滑筋収縮・弛緩の調節機序を中心に研究してきました。血管平滑筋ではノルアドレナリンなどの受容体(GPCR)刺激がミオシンホスファターゼを阻害し、平滑筋収縮を亢進します。この細胞シグナル経路は血管平滑筋が力を出して血圧の調節を行う上で必要だということはわかっていましたが、その分子機構は未解明のままでした。1995年にGPCR刺激に応じてミオシンホスファターゼを調節する新規の平滑筋特異的タンパク質を発見、さらにこのタンパク質をコードしている遺伝子を決定してCPI-17と名付けました。CPI-17はタンパク質と構造・機能の面で全く新しいシグナルタンパク質でした。その後アメリカでの20年間の留学中に、刺激に応じてCPI-17経路が血管平滑筋収縮・弛緩を調節することとその分子機構を明らかにしました。さらに、CPI-17の量が環境の変動に応じて増減する分子機構とその細胞運動性に対する影響を明らかにしました。我々が提唱したCPI-17シグナル経路のモデルは交感神経やホルモン刺激に応じた血管平滑筋の収縮特性をうまく説明でき、高血圧や喘息、消化器・泌尿器疾患などを対象にした多くの橋渡研究に引用されています。現在は、病気のモデルにおけるCPI-17の役割の変化やCPI-17類似タンパク質の解析などを中心に研究を進めています。

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