薬物作用学講座

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薬物作用学講座は、以下の3分野で構成されています。

薬理学分野

薬理学とは、薬と生体との相互作用を科学する学問です。薬はどのようにして効くのかという理屈を扱うと同時に、その理屈が臨床とどのように関連するのかを解き明かします。現在の医療において、「薬」による治療は欠かすことの出来ない手段となっていますが、薬を臨床現場で有効かつ安全に使うために、薬理学は極めて不可欠な学問分野です。

ヒトを含めて高等動物は、機能の恒常性維持のために様々な調節機能を有しています。疾患は、その調節機能の障害あるいは破綻の結果もたらされた状態です。薬理学を理解するには、薬だけではなく生体側の反応についてもきちんと知っておくことが大切です。解剖学、生理学、生化学、分子生物学などの基礎系科目だけではなく、免疫学、病理学などの応用系科目についての理解も必要となります。これらを全て理解した上で、はじめて薬の役割を理解することが出来ます。

薬理学は基礎系科目と臨床系科目の架け橋となるような学問分野かもしれません。薬理学を学ぶことで、基礎分野の理解がより深まると同時に、応用系科目や臨床系科目への興味がわいてきます。

薬理学を通して、皆さんの獣医学の理解が深まることを期待するとともに、講義・実習、そして研究で携われることを楽しみにしています。世界最先端の薬理学研究を体験したい方は、いつでも研究室を訪ねてください。そして、一緒に研究を楽しみましょう。

担当講義・実習

獣医薬理学総論
獣医薬理学各論
獣医薬理学実習
動物薬理学A(総論)
動物薬理学B(各論)
動物薬理学実習

薬理学講義は総論と各論で構成されています。ヒトを含めて高等動物は、機能の恒常性維持のために様々な調節機能を有しています。疾患は、その調節機能の障害あるいは破綻の結果もたらされた状態です。薬理学総論では、薬はその機能を増強あるいは抑制することによって、もとのバランスへと回復させ疾患を治癒へと導くことを学びます。薬理学各論では、総論で学んだことを基礎として、医薬品が対象とする疾病の背景、薬の作用様式、使い方、副作用などについて系統立てて理解します。
薬理学実習では、獣医学が対象とする代表的な治療薬の反応を様々な実験手技を通じて修得します。生体反応を多角的に考察することにより、薬の作用の現れ方、作用機序、および生体内運命に関する知識を総合的に理解します。

メッセージ

研究風景と研究結果


A video-microscopy system for studying micro- and lymph-circulation


血管平滑筋細胞における炎症性サイトカインTNF-aによる転写因子NF-kB, p65サブユニットの核内移行。p65 (Red), nuclear (Blue).

薬理学部門 教員紹介

創薬学分野

身体の機能が何らかの原因で異常となり、正常状態から逸脱した状態が疾病です。薬は、この異常の原因に作用して身体の機能異常の緩和あるいは正常化を助ける物質です。創薬研究とはこの薬を創製するための研究活動で、創薬科学とはその創薬研究全般を取り扱う複合的な学問です。したがって、生化学、分子生物学、細胞生物学、薬理学などの生物系の学問は無論のこと、有機化学、計算化学、天然物化学、物理化学など化学系の学問も含めた学問領域横断的な融合が必要不可欠です。最近では、ゲノム科学、再生医学や幹細胞研究、情報技術(ICT)の進展が目覚ましく、これらの創薬への活用の重要度がますます高まっています。

また、基礎研究とその医薬品としての実用化の間には、いわゆる「死の谷」が横たわっていると言われて久しく、アカデミアでの基礎研究成果を実用化へといかに橋渡しするか、産官学を挙げてのさまざまな取り組みが推進されています。

このような創薬科学を取り巻く状況において、獣医学及び獣医研究者の果たす役割は極めて大きいものがあります。例えば、薬の開発においては、まずは対象とする疾患の病因を探り、創薬標的を絞らなければなりませんが、獣医学における基礎研究や薬理学的研究から新たな病態の解明、新規創薬標的の同定に至る可能性があります。また、ヒトでの有効性と安全性を予測する上で動物での試験は必須ですし、ヒトと動物のギャップを埋める新たな実験法やモデル系の開拓による臨床予測性の向上も重要です。これらの課題に取り組むには、ヒトと動物の生化学、分子生物学、生理学や薬理学などの知識と研究が欠かせません。

以上のように、獣医学領域における基礎及び臨床研究は、病因の解明や創薬標的の探索や研究成果のヒト医療への橋渡しなど、生命科学分野、創薬分野において極めて重要な位置を占めています。薬理学、毒性学、実験動物学、トランスレーショナルリサーチなどに関する研究・教育を通じて、生命科学分野及び創薬分野を支え、さらには将来を牽引できる獣医研究者の養成、基礎研究成果の実用化応用の推進に取り組みます。

各教員の研究内容については、教員の個人ページをご覧ください。

創薬学部門 教員紹介

毒性学分野

 毒性学とは、化学物質や薬物、環境汚染物質などが生物に与える影響を科学的に解明する学問です。この分野は、社会において非常に重要な役割を果たしています。

  1. 1. 医薬品など化学物質の安全性 (毒性試験/安全性試験)
    新しい医薬品などの化学物質や製品の開発において、その安全性を評価するために毒性学の知識が必要です。例えば、ある薬物が薬効を発揮する一方で、標的臓器以外にどのような副作用が生じるかを調べる方法を学びます。これにより、消費者や従業員の安全を確保し、企業など開発者の社会的責任を果たすことに貢献できます。
  2. 2. 公衆衛生 (リスク評価)
    有害物質が人間の健康に与えるリスクを評価し、予防策を講じるための基盤を提供します。これにより、食品安全基準の策定や、職場での有害物質の管理、環境保護政策の立案など、公衆衛生の向上に寄与しています。
  3. 3. 環境保護 (環境毒性)
    化学物質が環境に与える影響を評価し、生態系の保全に役立てることができます。これにより、生物多様性の保護や、持続可能な社会の実現に貢献します。

担当講義・実習

 動物毒性学, レギュラトリー科学, 国際生物資源学, (専門)化学, 動物毒性学実習, 医薬品・食品安全性評価演習

毒性学では、理論と実践の両方を重視しており、最先端の研究に基づいた講義を通じて、毒性学の基本概念から応用まで幅広く学ぶことができます。例えば、細胞毒性、遺伝毒性、発がん性試験など、さまざまな毒性評価の方法を学びます。これらの知識は、臨床現場での動物の治療や新薬の開発、さらには環境中の有害物質のリスク評価に役立ちます。また、毒性学研究としてはオミクス技術など最新の手法を用いて、毒性メカニズムの解明に注力しています。

研究風景と研究結果

次世代シーケンサー、物質A投与後の肝臓での病理組織学的変化と遺伝子発現変化

毒性学部門 教員紹介

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