病態生理学講座

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病態生理学講座は獣医病理学部門、獣医実験動物学部門、獣医免疫学部門より構成されています。

獣医病理学部門

獣医病理学とは、「生物はどうして病気になり、なぜ死に至るのか?」を根本的な問いとし、様々な動物の病気について、その成り立ちや原因、進展、帰結に関する形態学的、機能的変化を探求する学問です。具体的には、死んだ動物を病理解剖して、自分の目 (マクロの目)で病気の原因を探します。さらに、肉眼では見えない病変については顕微鏡(ミクロの目)で観察して、動物の体内で何がおきたのか、なぜ死に至ったのかなど、病気の成り立ちを明らかにします。その他、病気の動物が生きている段階で外科切除した病変をマクロ、ミクロで観察し、病気を特定することで治療に役立てます。獣医病理学は獣医療の最前線において、病気の診断を決定する重要な役割を担う臨床獣医学としての一面を有しており、基礎獣医学と臨床獣医学の橋渡しを担う重要な学問でもあります。

担当講義・実習

獣医病理学総論: ヒトを含む動物種、各種臓器に普遍的に生じる病気の成り立ちについて学びます。

獣医病理学各論: 様々な動物の病気について、臓器、器官ごとに学びます。

獣医病理解剖学実習: 実際に動物を病理解剖して、病変を見つけるマクロの目を養います。

獣医病理組織学実習: 実際に動物の病変の組織標本を観察して、病変を見つけるミクロの目を養います。

その他、産業動物疾病診断病理学、エキゾチックアニマル学、国際獣医法医学、国際展示動物疾病学も担当しています。

病理学部門:シロヘビアデノウイルス感染症
病理学部門:フンボルトペンギンの胃がん
病理学部門:ミーアキャットの心筋症

メッセージ

器官レベル、個体レベルにおける病態を理解するには、病理形態学から得られる情報が極めて重要となります。獣医病理学は基礎から臨床まで様々な領域と密接に関連しており、獣医病理学で得た知識は多分野に応用することができます。皆さんが将来、基礎獣医学および臨床獣医学の担い手となれば幸いです。

教員

獣医実験動物学部門

獣医実験動物学とは

講義、実習として
ライフサイエンス研究に必須な実験動物を用いた動物実験に関わる講義、実習を主に担当しています。講義では、汎用されているマウス・ラットなど小型げっ歯類やイヌ、サル、ブタなどの育種、繁殖、品質管理に関する事項や感染症の管理を含めた飼育管理について学び、さらに動物実験に関する法令や基準等の社会規範に則し、かつ動物の福祉に配慮した適正な動物実験を実施するための方策等の修得も目指していただきます。また、実験動物を用いた実験法と最先端の動物実験法について学びます。実習では、講義で学んだ知識をより確実なものとするために、その基本と応用を、実際の実験動物に触れて学習します。ここで学ぶ技術、考え方は基礎研究のみならず、臨床の場においても必須のものとなっています。

卒業研究として
現在は特に12型コラーゲンやProfilin1に着目した研究を行っています。12型コラーゲンは組織の力学的強度や柔軟性を制御するコラーゲン分子の一つで、骨、靭帯、腱といった力学的負荷を強く受ける組織で発現が高いことが知られ、近年ではミオパチー型エーラスダンロス症候群の原因遺伝子とされましたが、その役割や機能は未解明な部分が多く残されています。Profilin1はアクチン骨格重合制御因子であり、細胞の運動や形態変化制御に欠かせない極めて重要な因子です。これまでの我々と共同研究者達の研究から骨関連細胞(破骨細胞、骨芽細胞、骨細胞)においてProfilin1が多様な役割を担っていることが分かってきましたが、明らかになっていないことが多く存在します。当研究室では、上記遺伝子の未解明部分を明らかとするため、様々な遺伝子改変マウスや細胞を用いたライフサイエンス基礎研究を行っています。

担当講義、実習

動物実験学
獣医実験動物学実習
動物薬理学実習(保健看護学科)
専門英語IA
獣医病態モデル学
発生工学
ライフサイエンス特別実習
卒業論文Ⅰ
卒業論文Ⅱ
卒業論文Ⅲ

メッセージ

当研究室では所属する学生個々がそれぞれ独立したテーマを持ち、上記研究課題にアプローチを行っています。自主性をもって、積極的に基礎研究に取り組んでみたい方は是非当研究室にお越しください。

教員

獣医免疫学部門

獣医免疫学とは

 獣医免疫学では、様々な微生物から生体を守る免疫機構について学びます。免疫機構は、微生物に対する感染防御だけでなく、がんやメタボリックシンドロームなど、様々な疾患との関連も明らかになっています。また、免疫応答は適切にコントロールされている必要があり、その過剰な反応は花粉症や食物アレルギー、炎症性疾患や自己免疫疾患など、様々な弊害をもたらします。
 このような免疫機構ですが、種々の免疫担当細胞が直接的および間接的に影響し合い、複雑に連関して成り立っていることが、生化学的手法や分子生物学的手法、細胞生物学的手法などに加え齧歯類(マウスやラットなど)を中心とした遺伝子改変動物の解析を通して理解されてきました。近年、動物種によって免疫学的特性が異なることも明らかにされてきていますが、獣医免疫学および獣医免疫学実習(獣医学科)、動物感染症学B(獣医保健看護学科)では主にマウスやラット、ヒトの解析によって積み上げられてきた知見を元に、免疫機構について学びます。

担当講義、実習

獣医学科
獣医免疫学
獣医免疫学実習
獣医実験動物学実習(邊見、村上、宮前(全員分担))
発生工学(邊見、村上(分担))
免疫関連疾病学(村上)
小動物内科学実習(村上(分担))
臨床薬理学(村上(分担))
総合参加型臨床実習(村上(分担))
専門英語IB(宮前(分担))

獣医保健看護学科
動物感染症学B

メッセージ

 獣医免疫学部門では、各教員がそれぞれの研究テーマをもって研究活動をしています。マウスを用いた免疫機構の解析および免疫関連疾患の病態解明(邊見)、イヌの免疫介在性疾患の病態やイヌ・ネコの腫瘍環境の理解を目指した基礎的研究(村上)、そして、T細胞への抗原提示に関わる主要組織適合性複合体(主要組織適合遺伝子複合体, MHC)について、イヌやネコ、ウマなどを対象としたMHC遺伝子群の多型解析やMHC分子を中心としたがんワクチン開発(宮前)などが主な研究テーマです。
 このような様々なテーマについて、分子生物学的、生化学的、細胞生物学的、組織学的手法など駆使し、分子レベルから個体レベルまで解析・研究をしています。研究を体験したい方、免疫学およびその関連分野について学びたい方は、いつでも研究室を訪ねてください。ぜひとも、一緒に研究を楽しみましょう。

教員

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