2020年度研究業績

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2021/1/8 伊豆弥生准教授(獣医学科・実験動物学講座)が2020年にMatrix Biology誌に発表した論文が日本骨代謝学会のホームページ「1st Author」コーナーにて紹介されました。

本研究では世界に先駆けて作成した12型コラーゲン欠損モデルマウスを用いて、腱の組織化と力学特性を決定する機序が解明されています。

2021/1/8 獣医学科3年生勝木秀一さんが獣医保健看護学科3年生大橋南海さんとともに準正課プログラムi-LAPを使って獣医生化学講座江藤教授竹谷講師田中助教と行った研究成果発表が第62回日本平滑筋学会総会の優秀ポスター賞に選ばれました。本研究「平滑筋Ca2 sensitization forceの調節機構ーCPI-17 N•C末端領域の生理的役割」では動物の血圧調節に働くCPI-17タンパク質を介した新しい細胞シグナル機構を見いだしました。獣医学部準正課プログラムi-LAPでは獣医保健看護学科と獣医学科の学生がone teamとしてヒトと動物に関する謎に挑戦しています。

賞状 第62回日本平滑筋学会総会 優秀ポスター賞 岡山理科大学 獣医学部 獣医学科 勝木秀一殿

2020/12/25 第40回動物臨床学会記念年次大会において、獣医学部医獣医連携獣医学分野中村有加里助手深瀬徹教授と共に行った症例検討報告が同学会皮膚分科会の優秀賞を受賞しました。発表演題は「イヌに認められたイソオキサゾリン系薬物に低感受性を示すネコノミの寄生2例」です。中村先生が獣医学部教育病院にて進められている獣医皮膚科学に関する臨床研究のさらなる発展が期待されます。

皮膚分科会 Aword 中村明加里先生

2020/12/20 獣医麻酔科学講座の神田鉄平 准教授による研究論文が、Veterinary Sciences誌に掲載されました。論文のタイトルは”Effect of Different Doses of Atipamezole on Reversal of Medetomidine-Induced Tear-Flow Decrease in Rats”です。本研究では、α2-アドレナリン受容体の拮抗薬であるアチパメゾールが、α2-アドレナリン受容体作動薬であるメデトミジンによる涙液量減少を用量依存的に拮抗することを明らかにしました。合わせて、アチパメゾールによる涙液量の回復は、あくまで作動薬による減少を拮抗させた結果であり、アチパメゾールそのものに涙液量を増加させる効果が無いことが示されました。これらの成果は、α2-アドレナリン受容体作動薬が涙液量の減少を引き起こすメカニズムの解明に大きく貢献するものと期待されます。この研究には、獣医保健看護学科 古本佳代 准教授獣医外科学講座 前田憲孝 講師獣医外科学講座 糸井崇将 助教、獣医学教育動物病院 清水夕貴 動物看護師らが共同研究者として関わっています。
Effect of Different Doses of Atipamezole on Reversal of Medetomidine-Induced Tear-Flow Decrease in Rats
https://doi.org/10.3390/vetsci7040197
2020/12/16 医獣連携獣医分野久楽賢治助教が本大学獣医学教育病院にて行った放射線治療に関する症例レポート「The Outcome and CT Findings of Low-Dose Intensity Modulated Radiation Therapy with SQAP in a Cat with Thymoma」をveterinary sciences誌に発表しました。本レポートは、放射線増感剤の新薬であるsulfoquinovosyl acyl propanediolを投与してから放射線治療を行うことにより、通常より少ない放射線量で猫の胸腺腫に対して良好な治療成績を収めることが可能であったことを報告したものです。放射線治療において被ばく線量を抑えることは重要であり、また本報告はsulfoquinovosyl acyl propanediolを初めて臨床例で使用した報告で、放射線治療において大きな知見を提供することが考えられます。この報告には、望月庸平助教大西章弘助教三井一鬼助教神田鉄平准教授杉山晶彦教授前田憲孝講師小林宏祐助教岡村泰彦教授浅沼武敏教授が共同研究者として関わっています。

https://www.mdpi.com/2306-7381/7/4/203

2020/12/16 獣医学科3年生勝木秀一さんの研究発表課題(Kinase-Tagged-Western Blotting (KAT-WB)法の開発)が第20回岡山理科大学OUSフォーラム2020(http://renkei.office.ous.ac.jp/forum)において奨励賞を受賞しました。本研究発表は獣医学部の準正課プログラムi-LAPを通じて獣医学部生化学講座教員江藤教授竹谷講師田中助教)のアドバイスを受けて行った研究成果です。現在、総勢100名ほどの獣医保健看護学科と獣医学科の1-3年生が講義・実習の合間を使ってi-LAPに参加しており、アドバイザー教員と共に最先端獣医学研究を楽しんでいます。i-LAPの成果は学会や専門誌にて発表されています。
2020/11/18 獣医実験動物学講座伊豆弥生准教授の国際共同研究による研究成果の論文が、Matrix Biology誌(IF:6.986)に掲載されました。論文のタイトルは「Collagen XII mediated cellular and extracellular mechanisms regulate establishment of tendon structure and function」です。本研究では、小児難治性疾患であるミオパチー型エーラス・ダンロス症候群の原因遺伝子である12型コラーゲンの遺伝子改変マウスモデルを作成し、世界ではじめて病態機序の解明に成功しました。本研究成果は、関節の過伸展や拘縮による運動機能障害が問題となるミオパチー型エーラス・ダンロス症候群に対する新しい治療法の開発へつながると期待されます。
2020/10/15 医獣連携獣医分野の中嶋幸生講師と愛媛大学整形外科学との共同研究による研究成果 の一部が、整形外科の専門ジャーナルであるJournal of Orthopaedic Researchにア クセプトされました。論文のタイトルは「Molecular Profiling of Bone Remodeling Occurring in Musculoskeletal Tumors」です。本研究では、BMP、FGF、RANKLなどと いった骨代謝に関わる多数の調節因子について、約1361症例における発現を調査しま した。さらに筆頭著者が主軸となり構築した生体微小環境の解析ソフトウェアを使 い、分子間相互作用を網羅的に解析した論文です。
2020/10/12 獣医薬理学教室の向田昌司助教が先日発表した論文Increased Blood Pressure Causes Lymphatic Endothelial Dysfunction via Oxidative Stress in Spontaneously Hypertensive RatsがHigh Impact Paper in Hypertension (Basic Science) for fall 2020に選ばれました。
Hypertension誌(IF: 7.713)は、高血圧分野で最も権威のあるジャーナルです。
これは、今治獣医学部オリジナルの研究が世界的に注目されていることを示すもので、
さらなら高血圧研究のドライビングフォースとなることが期待されます。

Masashi Mukohda

2020/9/22 獣医学部薬理学講座の向田昌司助教New Investigator Awards for Japanese Fellows(日本高血圧学会助成)は、2020年9月10日から13日ニューオーリンズにて開催されたAHA/ASH Joint Hypertension Sessions 2020(日本高血圧学会とAHA連携)において、同学会にて発表する優秀な若手研究者に与えられるNew Investigator Awardを受賞しました。世界的な権威である米国心臓協会に認められた向田先生の研究経験が、獣医学科および獣医保健看護学科における循環器病研究・教育に今後生かされることが期待されます。

COUNCIL ON HYPERTENSION

2020/9/3・7 医獣連携獣医分野の中嶋幸生講師の国際共同研究による研究成果の論文が、国際的にも知名度の高いCancer and Metastasis Reviews (Impact factor 6.400)に受理されました(9/3)。論文のタイトルは「Galectin-3: an Immune Checkpoint Target for Musculoskeletal Tumor Patients」です。本研究では、この論文は整形外科関連の悪性骨腫瘍に対する新たな治療法を提唱した論文です。整形外科関連の悪性骨腫瘍は、ヒト(小児)と動物で共通する点が多く、このような悲惨な病をなくすために、この研究結果はトランスレーショナルリサーチとして重要な意味が内包されています。

同講師は続けて、論文「Autocrine Motility Factor and its Receptor Expression in Musculoskeletal Tumors」が整形外科関連の専門ジャーナルであるJournal of Bone Oncologyにも受理されました(9/7)。この論文はでは、骨に発生する悪性腫瘍における骨破壊のメカニズムを説明し、ヒトと小動物における新規の治療法を提唱しています。

2020/6/28 医獣連携獣医分野の中嶋幸生講師の国際共同研究による研究成果が、整形外科関連の専門ジャーナルであるJournal of Bone Oncology にアクセプトされました。論文のタイトルは「Amplification of Autocrine Motility Factor and its Receptor in Multiple Myeloma and other Musculoskeletal Tumors」です。本研究では、国立がん研究センターで発表者が主軸となり構築した生体微小環境の網羅的解析ソフトウェアを使い、運動器に由来する腫瘍に罹患した患者データ1348症例を調査しました。
2020/7/13 医獣連携獣医分野久楽賢治助教神田鉄平准教授前田憲孝講師望月庸平助教小野文子准教授伊藤良樹准教授浅沼武敏教授が行った本学内の共同研究に関する研究成果の論文が、veterinary science誌にpublishされました。論文のタイトルは「Effects of Sedation by Intramuscular Administration of Medetomidine on Canine Abdominal Vascular System and Hepatic Parenchyma Imaging Using Enhancement Dynamic Computed Tomography.」です。本研究では、メデトミジン筋注による鎮静を行った犬では、プロポフォール導入・セボフルラン維持の麻酔群と比較して、造影CTにおいて腹腔内血管や肝臓実質の造影増強の大幅な遅延を起こすことが証明されました。また、後大静脈において通常麻酔では認められない、動脈よりも早い顕著な造影増強も認められました。そのため、メデトミジン筋注による鎮静を行った犬における造影CTの検査所見は、通常の麻酔とは異なる造影増強を示す可能性が大きく、注意が必要です。

https://www.mdpi.com/2306-7381/7/3/91

2020/7/1 東京大学先端科学技術研究センター臨床エピジェネティクス寄付研究部門の河原崎和歌子特任助教・藤田敏郎名誉教授と獣医薬理学教室の水野理介教授の共同研究が、Journal of Clinical Investigation誌電子版にpublishされました。論文のタイトルは「Salt causes aging-associated hypertension via vascular Wnt5a under Klotho deficiency」です。詳細は、東京大学先端科学技術研究センターのプレスリリースhttps://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20200630.htmlを参照ください。
2020/6/10 獣医学科実験動物学講座伊豆弥生准教授の論文「腱細胞の細胞間コミュニケーションーVI型・XII型コラーゲンによる制御ー」が医学系専門誌である整形・災害外科の6月号特集、腱・靭帯フロンティアに掲載されました。この総説では腱の構造とそれを形成する細胞の制御機構に加え腱の脆弱化メカニズムに関与する新たな制御分子であるVI型・XII型コラーゲンについて、これまでの研究成果と最近の知見について解説しています。
2020/5/26 獣医薬理学講座の向田昌司助教水野理介教授尾崎博教授の高血圧症に関する研究成果の論文が、Hypertension誌に受理されました。論文のタイトルは「Increased Blood Pressure Causes Lymphatic Endothelial Dysfunction via Oxidative Stress in Spontaneously Hypertensive Rats .」です。本研究では、本邦オリジナルである自然発症高血圧ラットを用いて、血圧上昇がリンパ管内皮細胞機能を障害することを世界に先駆けて発見し、そのメカニズムに酸化ストレスの関与することを証明したものです。本研究によって、高血圧症における病態生理の理解と、高血圧症治療への新展開が期待できます。Hypertension誌(Impact Factor:7.017)は、American Heart Associationの1機関紙でありhttps://www.ahajournals.org/metrics、高血圧症関連のトップジャーナルです。この研究は、岡山理科大学獣医学部オープンラボを立ち上げて約2年で得られた成果であり、さらなるトランスレーションリサーチの発展が期待されます。
2020/5/7 獣医学部獣医生化学講座の竹谷浩介講師が首都大学東京の渡辺賢教授グループと共に執筆した論文”Inhibitory effects of rubratoxin A, a potent inhibitor of protein phosphatase 2, on the Ca2+-dependent contraction of skinned carotid artery from guinea pig”が2019年のJournal of Smooth Muscle Research誌の優秀論文賞に選ばれました。この研究では血管平滑筋の収縮・弛緩運動の調節における2A型脱リン酸化酵素(PP2A)の役割を細胞膜に穴をあけたスキンド血管標本を用いて解析し、PP2AがCa2+依存性調節とCa2+非依存性調節の2か所以上で重要な役割を担っていることを明らかにしました。

2020/4/15 獣医医麻酔科学講座の神田鉄平 准教授が、獣医保健看護学科 古本佳代 准教授、獣医学教育動物病院 清水夕貴 動物看護師、獣医外科学講座 前田憲孝 講師らと共に行った共同研究の結果を”Effect of Intramuscular Medetomidine Administration on Tear Flow in Rats”としてVeterinary Sciencesに発表しました。
本研究では、α2-アドレナリン受容体作動薬であるメデトミジンがラットの涙液量を用量依存的に減少させることを明らかにしました。神田 准教授らはこれまでに、イヌ、ネコ、ブタといった複数の動物種に共通した現象であることを報告してきており、今後はこれらのメカニズムの解明に取り組んでいく予定です。

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