2019年度研究業績

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2020/3/26 獣医学科1年生の増田未実さんが深瀬徹教授と太田奈保美助教の指導の下で行った研究成果を第16回日本獣医内科学アカデミー学術大会(2020年2月21-23日、パシフィコ横浜)にて口頭発表しました。発表演題は「犬の飼い主による犬糸状虫症予防薬の適切な投与を阻害するリスク要因の抽出-愛媛県におけるアンケート調査からの考察-」です。今治キャンパスでは学部学生のための研究室研修準正課プログラム「i-LAP」を使い、現在50名ほどの学生が最先端の獣医学・獣医関連科学研究を実体験しています。
2020/2/27 獣医麻酔科学講座の神田鉄平 准教授が、獣医学教育動物病院 清水夕貴 動物看護師、獣医外科学講座 前田憲孝 講師獣医学教育病院の清水夕貴 動物看護師が、獣医保健看護学科 古本佳代 准教授らと共に行った共同研究の結果を”The effect of a heat and moisture exchanger on temperature and humidity of inhaled gas in isoflurane-anesthetized dogs”としてVeterinary Anesthesia and Analgesiaに発表しました。この研究では、吸入麻酔下にあるイヌにおいて、人工鼻とも呼ばれるheat and moisture exchanger (HME)の使用が、気道内の温度と水分含有量をより高く保つことを明らかにし、併せて気管粘膜の保護に有益であることを示唆しました。

2020/2/19 獣医学教育病院の清水夕貴 動物看護師が、日本動物看護学会第28回大会の一般演題において「MRI検査におけるイヌの体温管理についての予備的検討」としたタイトルでの発表を行い、大会発表優秀賞を受賞しました。動物看護師にとっても、獣医師にとっても非常に身近な問題でありながら、これまでに十分な検討がなされてこなかった点について、経験則ではなく科学的な手順で改善に取り組んだことが評価されました。この研究には獣医保健看護学科の宮部真裕 助教、佐伯香織 講師、獣医学教育病院の和田優子 動物看護師、石川弥咲 動物看護師、獣医学科の浅沼武敏 教授久楽賢治 助教大西章弘 助教神田鉄平 准教授、日本獣医生命科学大学の石岡克己 教授が共同研究者として関わっています。

表彰状 大会発表 優秀者 清水夕貴殿

2020/2/17 獣医学教育病院の清水夕貴 動物看護師、獣医保健看護学科の宮部真裕 助教が、和田優子 動物看護師、獣医学科の岡村泰彦 教授前田憲孝 講師大西章弘 助教久楽賢治 助教下川孝子 准教授神田鉄平 准教授らと共に行った動物看護事例に関する報告「術後にオピオイドの投与による有害反応を呈したイヌの看護二事例」をVeterinary Nursing誌に発表しました。オピオイドは強力な鎮痛作用を有し、獣医療においても欠かせない薬物となっていますが、一方で副作用への配慮が欠かせません。本報告は、これらに対する看護介入の実践を詳細に報告しており、現場で働く動物看護師らにとって重要な参考例となるものです。
2020/2/12 医獣連携獣医分野久楽賢治助教神田鉄平准教授前田憲孝講師望月庸平助教小野文子准教授伊藤良樹准教授浅沼武敏教授が行った本学内の共同研究に関する研究成果の論文が、Open veterinary Journal誌に採択されました。論文のタイトルは「Combining non-contrast enhanced magnetic resonance thoracic ductography with vascular contrast-enhanced computed tomography to identify the canine thoracic duct.」です。本研究では、MRIにおいて造影剤を使用せずに犬の胸管の非侵襲的に描出することを可能にしました。またこの胸管のMRI画像と胸部の血管造影CT画像をフージョンすることにより、より胸腔内の胸管および血管系の位置関係を三次元的に把握することができます。今後この方法が犬の乳び胸や胸腔疾患の診断や治療に応用されることが期待されます。

2020/1/23 獣医学科2年生勝木秀一さんが獣医生化学講座において竹谷浩介講師田中良法助教と行った研究成果に関する論文の江藤真澄教授のインタビュー記事がBioTechniques誌ホームページに掲載されました。

2019/12/25 獣医学部毒性学講座の早川晃司講師らが行った栄養と遺伝子制御に関する研究結果の論文がScientific Reports誌に採択されました。論文のタイトルは「Kynurenine, 3-OH-kynurenine, and anthranilate are nutrient metabolites that alter H3K4 trimethylation and H2AS40 O-GlcNAcylation at hypothalamus-related loci」です。本研究では、トリプトファンの代謝中間産物であるキヌレニンやアントラニル酸が遺伝子の活性化に働くことを明らかにし、これらの産物が我々の体の中でエネルギー源として働くだけでなく、遺伝子の利用にも重要な役割を持つことを示しました。本研究は公益財団法人ロッテ財団の助成のもと行われました。
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-019-56341-x
2019/12/16 獣医保健看護学科2年生の駒本和之さんがi-LAP(準正課ラボ研修プログラム)で取り組んだ研究成果を共著者の1人として、獣医形態学講座の教員(九郎丸教授松井准教授、五十嵐助教)とAnatomia, Histologia, Embryologia誌に発表しました。
本研究 “Characterization of glycoconjugates and sialic acid modification in the olfactory bulb of the Chinese fire-bellied newt (Cynops orientalis)” は、有尾両生類の嗅覚系における糖鎖発現が水棲・陸棲といった動物の生活環境と関係することを示したものです。
有尾両生類の嗅覚系における分子発現が明らかになることで、今後、なぜ脊椎動物が進化のなかで陸上環境に適応できたのか、についてその一端の解明につながると期待されます。現在多くの獣医保健看護学科1・2年生がiLAPプログラムを用いて最先端生命科学研究を行っています。
2019/12/04 獣医学科2年生の勝木秀一さんが獣医生化学講座の江藤教授竹谷講師田中助教と共に夏休みを利用して行った研究の成果をまとめた論文がBiotechniques誌に採択されました。本研究(タイトル”Kinase-activity-tagged western blotting assay” )では生体内の調節に働くリン酸化酵素「キナーゼ」を網羅的かつ簡便に検出できる新しい方法(KAT-western blotting法)を開発しました。今後、この方法を用いて新しい細胞シグナルが次々と発見されることが期待されます。
今治キャンパスでは、現在約50名ほどの獣医学科・獣医保健看護学科1、2年生有志が講義実習の合間を利用して「i-LAP」という準正課ラボ研修プログラムに参加しています。i-LAPでは教員の指導の下で最先端の研究機材を使って獣医学上の謎の解明に挑戦します。獣医学科・獣医保健看護学科学生の「創造的な研究力」を育てているのが今治獣医学部の特徴の一つです。
2019/11/14 獣医学部免疫学講座の宮前二朗助教が日本大学生物資源科学部獣医学科の森友忠昭教授と東海大学医学部の椎名隆教授と行ったイヌの移植免疫学に関する共同研究結果の論文がImmunogenetics誌に採択されました。タイトルは「Evaluation of alloreactive T cells based on the degree of MHC incompatibility using flow cytometric mixed lymphocyte reaction assay in dogs」です。 本研究より、主要組織適合性複合体(MHC)の遺伝子型をドナーとレシピエント間で一致させることで移植拒絶反応の原因となる免疫応答を有意に低減できることが証明されました。この研究成果より、幹細胞移植を用いた再生獣医療を実現するための努力がさらに加速することが期待されます。
2019/10/28 中国、上海にて開催された第6回 Asian Meeting of Animal Medicine Specialties(AMAMS)(10月23-25日)に本獣医学部より星病院長深瀬教授伊藤准教授下川准教授前田講師が参加しました。この国際会議において伊藤准教授は「Visual Evoked Potential in Dogs」という演題で英語招待講演を行いました。加えて、下川准教授は「De facto Diplomate of AiCVIM(アジア獣医内科設立専門医)」としてAsian Society of Veterinary Internal medicine(アジア獣医内科学会)より認定されました。本学部には下川准教授を加えて3人のアジア獣医設立専門医が所属しており、今後アジアにおける獣医専門医の育成に貢献する機会がさらに増えると期待されます。
2019/9/26 産業動物看護講座の永幡 肇教授は、2019年度の越智賞を受賞されました。受賞のタイトルは「乳牛の遺伝疾患・白血球粘着不全症の発見と病態解析および制御に関する研究」です。今年の9月の第162回日本獣医学会学術集会にて講演および授賞式が行われました。
2019/9/6 毒性学講座の齋藤文代准教授が科研費研究活動スタートアップ支援を獲得しました。肝毒性は医薬品開発中止の主要因で、その中で脂肪変性は肝がんにつながる可能性が高い重要な病変です。本研究課題「化学物質により誘発される脂肪変性の毒性パスウェイ解析」では、化学物質で生じる肝脂肪変性についてタンパク質の機能的変化に注目し、遺伝子発現から組織変化までを統合的に解析してシーケンシャルな毒性パスウェイを解明します。また、脂肪変性に関連した標的分子を絞り込み、次に細胞内イベントをタンパク質レベルで検出し、多層的データからの毒性パスウェイの構築を行います。
2019/9/6 生化学講座の田中良法助教は、科研費研究活動スタートアップ支援「TDP-43のシード能獲得過程の解析による神経変性疾患治療標的の同定」を獲得しました。筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭葉変性症では構造変化した核タンパク質TDP-43が細胞質に蓄積します。TDP-43の蓄積は疾患の進行と密接に関係していますが、何が原因でTDP-43の蓄積が始まるのかわかっていません。本研究では、細胞生物学的手法を用いてTDP-43の構造変化を引き起こす原因究明に挑戦します。
2019/9/6 実験動物学講座の梶川修平助教が科研費研究活動スタートアップ支援を獲得しました。当該研究課題「皮質骨への破骨細胞遊走性メカニズムの解明」は、細胞骨格を制御する遺伝子を破骨細胞特異的に欠損させたマウスを用いて、皮質骨の量や質を制御する機構の解明を目指すものです。本研究成果は未だ明確にされていない皮質骨の制御メカニズムの解明に挑むものであり、骨疾患、特に超高齢社会と切り離せない骨粗鬆症の治療開発につながることが期待されます。
2019/9/6 臨床病理学講座の三河翔馬助教が科研費研究活動スタートアップ支援を獲得しました。慢性腎臓病が末期腎不全に至る共通経路として存在しているのが腎線維化です。しかし腎線維化の病態メカニズムは未だ不明な点が多く、治療法が確立していません。近年、皮膚や肝臓の線維化に血小板から放出されるセロトニンが関与していることが明らかになってきました。本研究課題「セロトニンの持つ腎線維化調節機序の可能性」では、腎線維化に血小板由来のセロトニンが関与しているかについて明らかにし、慢性腎臓病の新たな治療法開発の可能性へとつながる研究として進めていきます。
2019/9/4 行動治療学講座の岩田惠理教授らは、カクレクマノミの群れを構成する個体間の社会的関係性の推移が血液中ステロイドホルモン濃度の時系列的変化に影響を与えることをMarine and Freshwater Behaviour and Physiologyに発表しました。本研究成果は、雄性先熟型性転換魚であるカクレクマノミの性決定プロセスには群れの個体間の社会的関係性が重要な役割を担うことを示したものです。

発表論文:’ Influence of social stability on the sex determination process in false clown anemonefish.’

2019/9/3 我々獣医学部が参加する人獣共通感染症対策を目指した愛媛県内学際的研究組織「愛媛ワンヘルス研究会」の初会合の意義を解説する記事が愛媛新聞オンライン版に掲載されました。今後もこのような機会に積極的に参加しながら、地域の方々と共に人と動物の健康(ワンヘルス)を対象とした獣医学・獣医関連科学が扱う様々な課題に対して取り組んでいきます。
愛媛新聞記事:https://www.ehime-np.co.jp/article/news201909020091
2019/8/20 獣医学部内科学Ⅰ講座の久楽賢治助教獣医学部外科学講座の前田憲孝講師らが本大学獣医学教育病院にて行った画像診断および治療に関する症例レポート’Magnetic resonance imaging findings of an intradural extramedullary hemangiosarcoma in a dog’をJournal of Veterinary Medical Science誌に発表しました。本レポートは、脊髄の硬膜内髄外に形成された血管肉腫に対して、MRIの撮影法の一つであるsingle-shot fast spin echo sequenceを用いたMRミエログラフィーが診断に有用であることを報告したものです。脊髄腫瘍の外科手術に対して、硬膜内外および脊髄内外のどこに腫瘍が位置するかを把握することは非常に重要であり、本報告は脊髄腫瘍の診断治療において大きな知見を提供することが考えられます。

2019/7/31 野生動物学講座の柳井教授らはウマヘルペスウイルスに関する論文をJournal of Comparative Pathology誌に発表しました。この研究において、ウマヘルぺスウイルスの神経病原性の発現をEHV-9,そのミュータント株SP21(frame(ORF19 および ORF14の変異株)間で比較したところ神経症状の発現および神経病変の程度がEHV-9株に比べSP21株は減弱されることを明らかにし、病原性発現にはframeORF19 および ORF14が重要な役割を持つことを証明しました。この結果より、ウイルス感染による家畜の死を防ぐ新しい方法が開発されるでしょう。

発表論文”Comparative Neuropathogenesis of Equine Herpesvirus 9 and its Mutant Clone (SP21) inoculated intranasally in a Hamster Model”

2019/7/18 獣医麻酔科学講座の神田鉄平准教授らは、α2-アドレナリン受容体作動薬であるブリモニジンの点眼によって猫に鎮静を施す際に問題となる嘔吐を、マロピタントを予め経口投与しておくことで予防・軽減できることをJournal of Feline Medicine and Surgeryに発表しました。本研究成果は、嘔吐の発生を予防してもブリモニジンの鎮静効果には影響せず、より安全に猫を不安や恐怖から解放できることを明らかにしました。

発表論文 “Antiemetic effect of oral maropitant treatment before the administration of brimonidine ophthalmic solution in healthy cats”
https://doi.org/10.1177/1098612X19862687

2019/7/9 獣医学部創薬薬理学講座の藤原信行助教は2019年第9回日本プロテインホスファターゼ研究会学術集会(札幌)において研究会奨励賞を受賞しました。受賞研究テーマ「Protein phosphatase 6は大腸癌細胞の幹細胞性を制御する」では、がんの再発・転移に関与しているがん幹細胞におけるタンパク質脱リン酸化酵素PP6の役割を解明することを目標としています。本研究成果がPP6シグナル経路を新しい抗がん治療の標的として確立するとともに、本学部が目指しているトランスレーショナルONE MEDICINEの原動力となることが期待されます。
2019/7/4 獣医学部薬理学講座の水野理介教授は今年度の文科省挑戦的研究(萌芽)を獲得しました。2年間(500万円)の本研究プロジェクト「アミロイドベータのリンパ系クリアランス促進による認知症治療の萌芽的研究」は、我が国を筆頭に先進国共通の喫緊社会問題である認知症治療法を既存の概念とは全く異なる獣医学的アプローチによって萌芽することに挑戦します。この挑戦は、学術体系や方向を大きく変革・転換させる潜在性を有する我々獣医学部が目指している医獣医連携医療(ONE MEDICINE)の推進につながると期待されます。
2019/6/24 獣医学部内科学Ⅰ講座の望月庸平助教は、日本獣医生命科学大学小山秀一教授と共に行った研究成果をまとめた論文をJournal of Veterinary Medical Science誌に発表しました。
本研究では、僧帽弁の収縮期前方運動による左室流出路の動的閉塞を生じた閉塞性肥大型心筋症の猫にβ遮断薬の一種であるカルベジロールを投薬した際の治療反応性の差異と心エコー検査による左室形態指標との関連性を検討し、左室後壁厚と僧帽弁前尖長の高値が薬剤への反応性が低いことと関連していることを解明しました。今後、これらの指標が猫における閉塞性肥大型心筋症の治療薬剤選択の一助となることが期待されます。

2019/6/19 獣医学部臨床病理学講座の杉山晶彦教授と愛媛県水産研究センター、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所との共同研究の結果” Histopathological Features of Mycobacterium chelonae Infection in Two Farmed Japanese Pufferfish (Takifugu rubripes)“がJournal of Comparative Pathologyに受理されました。本研究では養殖トラフグに発生したMycobacterium chelonae感染症を病理組織学的に解析し、トラフグの臓器においてはうきぶくろが本感染体に対し最も高い感受性を示すことを明らかにしました。本知見は本感染症の早期診断に貢献し得るものであり、極めて有意義な研究であるといえます。

2019/5/30 獣医学部外科学講座の前田憲孝講師は愛甲石田動物病院にて行った先端治療に関する症例レポートをOpen Veterinary Journal誌に発表しました。田村勝利先生とともに発表した本レポートでは、活性化リンパ球療法という先端技術が悪性腫瘍と診断された高齢のネコのQOLの維持に有用である可能性を世界に先駆けて報告しています。オプジーボなどの免疫療法がヒトの抗がん治療において注目されている中、前田先生が今回行った免疫細胞を利用した治療方法が新しい獣医療の道を開くと期待されます。本レポートは以下のサイトにて公開されています。

2019/5/30 獣医学部内科学Ⅰ講座の久楽賢治助教獣医学部病理学講座宇根有美教授との共同研究の結果”MORPHOLOGICAL ASSESSMENT OF HORSESHOE CRABS (TACHYPLEUS TRIDENTATUS) USING MAGNETIC RESONANCE IMAGING”がJournal of zoo and wildlife medicineに受理されました。本研究は本国で貴重な生物であるカブトガニの標本に対し、MRIを撮影して詳細な体内構造を解析することが可能であることを証明した報告です。MRIは非破壊的に生物の体内を観察することができるのみならず、炎症や腫瘍などの病態も診断することが可能なため、今後、生体に応用することにより、カブトガニの保全や疾病の解明に役立つことが期待されます。

https://bioone.org/journals/Journal-of-Zoo-and-Wildlife-Medicine/volume-50/issue-3/2018-0195/MORPHOLOGICAL-ASSESSMENT-OF-HORSESHOE-CRABS-TACHYPLEUS-TRIDENTATUS-BY-USING-MAGNETIC/10.1638/2018-0195.short

2019/5/13 獣医学部獣医薬理学教室の向田昌司助教は、日本平滑筋学会より第5回白鳥常男賞(2019年度)を受賞します。本賞は、平滑筋及びその関連領域の若手研究者の研究奨励を目的としたものです。2019年8月に開催される第61回日本平滑筋学会総会(名古屋大学)にて、授与式および受賞記念講演が行われる予定です。
2019/5/11 獣医学部臨床病理学講座の杉山晶彦教授と杏林大学医学部苣田慎一助教との共同研究の結果”Renal lesions in leptin receptor-deficient medaka (Oryzias latipes). “がJournal of Toxicologic Pathologyに受理されました。本研究はレプチン受容体欠損によりII型糖尿病徴候を呈したメダカに発生した糖尿病性腎症を病理組織学的に解析し、人を含めた哺乳動物の糖尿病性腎症との比較検討を実施し、当該レプチン受容体欠損メダカが哺乳動物の糖尿病性腎症モデルとして有用であることを明らかにしました。今後、本疾患モデルメダカを用いた後続研究により、 糖尿病性腎症に対する新たな治療戦略が確立されることが期待されます。

2019/4/23 獣医生化学講座の竹谷浩介講師は首都大学東京の渡辺賢教授グループとの共同研究結果をJournal of Smooth Muscle Research誌に発表しました。論文タイトル“Inhibitory effects of rubratoxin A, a potent inhibitor of protein phosphatase 2, on the Ca2+-dependent contraction of skinned carotid artery from guinea pig”では血管平滑筋の収縮・弛緩運動の調節における2A型脱リン酸化酵素(PP2A)の役割を細胞膜に穴をあけたスキンド血管標本を用いて解析し、PP2AがCa2+依存性調節とCa2+非依存性調節の2か所以上で重要な役割を担っていることを明らかにしました。この研究成果より新しい血圧調節機構が解明されることが期待されます。上記論文は以下のサイトから閲覧できます。

2019/4/23 獣医生化学講座の竹谷浩介講師はカナダ・カルガリー大学医学部のMichael Walsh教授グループとの共同研究結果、”Expression of troponin subunits in the rat renal afferent arteriole”をIUBMB Life誌に発表しました。腎臓の血液ろ過において重要な役割を果たしている微小血管(輸入細動脈)がもつ特殊な収縮能力の分子メカニズムを解析したこの論文において、世界で初めてトロポニン分子がこの微小血管に発現していることが明らかとなった。この成果は、骨格筋や心筋といった素早い収縮を示す横紋筋に発現していることが知られているトロポニンが、素早い収縮特性を持つ腎輸入細動脈においても横紋筋と同様に収縮を調節している可能性を示しています。
2019/4/4 獣医学部獣医薬理学教室の向田昌司助教は、前任地アイオワ大学Curt Sigmund教授の元で行った研究成果をまとめた論文をJournal of Clinical Investigation(JCI)誌に発表しました。

この論文の中で向田先生はPPARgammaシグナルの下流に位置するRhoBTB1の役割についてマウスモデルを用いて解析を行い、PPARgamma-RhoBTB1シグナル経路が高血圧症に発症に関与することを明らかにしました。

JCI誌はJournal Citation Reportsの医学研究部門において国際的にトップランクされる雑誌であり、今後今治キャンパスにおいて向田先生の高血圧症研究がさらに発展すると期待されます。

なお、向田先生は2019年4月20日に今治キャンパスにて行われる第7回市民公開講座において高血圧症を含む生活習慣病について講演されます。

同時に行われる千葉秀一先生の精神疾患のお話とともに興味深いお話が聞けると思いますので是非参加してください。

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